開業4年目
2018/05/31

いつも大変お世話になっております。
この5月で、のじまホームクリニックも開業して
4年目を無事に迎える事ができました!
これも関係者皆様のおかげです。
本当にありがとうございます!
今日は単純に私の思い話です。
長いですが、お付き合いください。
(外に出歩いている訳ではないので、そんなにネタはございません(笑))
私はオープニングスタッフとして入社しましたが、正直なところ
『訪問診療なんて需要あるの???』という不安しかありませんでした。
オープン当時、福山市内で訪問診療を専門でしている医療機関は、うちを含め2件だけでした。
若い世代にはなじみの無い人が多いのではないかと思います。
実際開業までの準備期間中に診療が決まっていたのは50名弱でした。
外来を経験されている方ならお分かりかと思いますが、一ヵ月で50名というと、かなり少ない人数です。
野島先生はというと、『一年後には月100名を超える患者様を診るくらいになりたいですね』というゆったり具合。
私が『就職先を間違えたか…』と思ったのもこの時期です(笑)

しかし転機はすぐに訪れました。
5月に入って実際に診療が始まると、毎日のように診療依頼があるのです。
看護師も事務も、毎日のようにくる新規依頼に四苦八苦し、6月には100名を越えました。
『当初の目標、一年後に100名はどうなった?!』
『一ヵ月で100名超えてるし!!!Σ(゚д゚|||)』
マラソンを想像していた私には、まさかの短距離走になり、スタートダッシュに付いていけなくなる そんな感じでした。
こんなにも在宅でご家族を看ていらっしゃる人が多いとは思っていませんでした。
よく考えてみると、戦後しばらくは自宅療養なんて当たり前の時代でしたね。

私の祖母がまだ20代の頃は、先生が家にやってくるのはありふれた光景でした(現在95歳)。
自宅が療養場所というだけではなく、出産など【人生の最初から自宅】という時代です。
戦後数十年経って、日本の経済状態が良くなるにつれ、体調が悪くなれば【入院が当たり前】に変わってきました。
お金をかければ先進医療が受けられ、家族は安心して仕事に行く事もできますよね。
逆に、お金がかけられないと入院もできず、満足のいく治療は受けられない。
家族は必ず誰かが家に居て、外出するのも難しいです。
でもそれは家族の都合や現実問題であって、95歳の祖母にしてみれば、「小さい時から家で看てもらっていて、最期まで自宅でおだやかに過ごしたい」というのが本心でした。
私の祖母は現在入院中で、毎日、朝・昼・夕と1日3回リハビリを受けています。
自宅に帰りたいと思い、必死で歩行練習や計算問題を解いています。
父は祖母を家に連れて帰りたいと思っていますが、実際家に帰ってきたところで、今のようなリハビリは出来ません。
本人が眠いと言えば一日中ベッドで眠らせて、夜は起きて家族を呼びつける昼夜逆転生活がはじまります(認知症ではありません)。
家族相手だから『甘えてしまう』『(本人の)甘えを許してしまう』というのも、本人の病状を悪化させているのですが…
このような状況だと家に居たくても、受け入れ側(家族)が対応できない
→ 結局は施設入所か入院。
という流れになってしまいます。(同じような家庭はまだまだ多いのではないでしょうか?)
施設利用や入院が悪いという事ではありません。必要に応じて利用するのはむしろ良い事だと思います。

しかし今後、病院では受け入れが出来ない程の患者様の波がくると言われています。
(いわゆる団塊の世代の方が、75歳以上になる頃です)
いざという時に施設や病院を利用しようにも、空きが無いという状況が増えてくると思います。
そんな中、往診してくれる先生が近くに居る、看護師さんが家に来てくれる、リハビリも自宅で受けられるという、医療・介護のサービスがしっかり浸透し、もっと診療内で出来る内容が広がれば、時代は70年前の在宅療養がありふれている頃の考え方に自然と戻っていき、自宅で療養するという土台が出来上がっていくのではないでしょうか。
私はこの職場で働くまで、訪問診療がどんな物なのかよく理解していませんでした。
4年経った今でも理解できている事はごく一部です。
そんな私が少しでも成長できていて、患者様の為に微力ながら協力できているなら嬉しいのですが、こればかりは自分ではわかりません。
ただ、ふと家族を見ていると、私は昔とは違う見方をするようになったなぁ と感じる事があります。
まだまだ足りない事だらけですが、もう暫くは頑張っていきたいです。
今回は長文、駄文ではございましたが、のじまホームクリニックを今後も変わらず、
よろしくお願い申し上げます。
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